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今回は、取引条件明示義務を詳説します。

    フリーランスと業務委託を行う場合、委託者は書面等により直ちに以下の取引条件を明示しなければなりません。

    1. 業務の内容
    2. 報酬の額
    3. 支払期日
    4. 発注事業者・フリーランスの名称
    5. 業務を委託した日
    6. 給付を受領・役務の提供を受ける日
    7. 給付を受領・役務の提供を受ける場所
    8. (検査を行う場合)検査完了日
    9. (現金以外の方法で支払う場合)報酬の支払方法に関する必要事項

    上記の内容は、業務委託契約を締結する場合には、通常は契約書に含まれる内容ですので問題ないと考えられます。

    もっとも、フリーランス法は、①報酬を金銭以外の方法で支払うことを選択できること、また②取引条件の明示方法が契約書等の書面に限られないという点で特徴的です。これまで利用されている業務委託契約書を上記の観点から確認し、変更が必要な場合には対応されることをお勧めします。

    金銭以外の方法による報酬支払い方法と記載事項

    金銭以外の方法としては、①手形の交付による方法、②一括決済方式、③電子記録債権方式、④資金移動業者の資金移動業に係る口座への資金移動の方法が可能とされています。

    一括決済方式とは

    報酬額に相当する債権を担保として金融機関から報酬額に相当する金銭の貸付を受ける債権譲渡担保方式、報酬額に相当する債権を金融機関に譲渡し、報酬額に相当する金銭の支払いを受けるファクタリング方式、報酬額に相当する債務を委託者とともに負った金融機関から報酬額に相当する金銭の支払いを受ける併存的債務引受方式をいいます。

    一括決済方式の場合には、①金融機関の名称、②貸付または支払いを受けることができる金額、③該当する債権に相当する金銭を金融機関に支払う期日の記載が必要です。

    電子記録債権方式とは

    手形・振込に代わる新たな決済手段であり、 電子記録債権の発生・譲渡は、電子債権記録機関が作成する記録原簿に電子的な記録を行う方法によります。

    電子記録債権方式の場合には、電子記録債権の額及び支払期日の記載が必要です。

    資金移動業者の口座を経た資金移動とは

    電子マネーによる支払い方法で、いわゆる○ペイなどの方法をいいます。

    デジタルによる支払いの場合には、資金移動業者の名称と資金移動する額の記載が必要です。

    取引条件明示の方法

    フリーランス法では、取引条件について書面の交付(契約書や取引条件通知書など)以外に、以下の方法が認められます。

    • 電子メール
    • ショートメッセージツールを利用する方法、
    • SNSのチャットツールを利用する方法

    書面交付以外の方法による場合、メッセージ本文に取引条件を記載しても、取引条件を記載した書面を添付する方法でも良いとされます。

    もっとも、書面交付以外の方法で取引条件を明示した場合、フリーランスが書面の交付を求めた場合には、原則として書面を交付しなければなりません。