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海外との取引における紛争解決手段として仲裁が用いられますが(国際的な紛争解決手段(1)をご確認下さい)、近年調停による紛争解決が注目されています。

調停とは
調停とは、当事者間の紛争について、独立・中立かつ公正な調停人により、当事者の話し合いで解決する方法をいいます。裁判や仲裁が裁判官や仲裁人が判断を下す手続きであるのとは異なり、あくまで当事者間の合意により紛争を解決する手段である点が特徴です。また、裁判や仲裁は過去に発生した問題の後始末をすることを目的としますが、調停では過去の問題のみならず将来の当事者の関係についても話し合いにより合意に含めることができるなど、非常に柔軟な手続きです。

調停の利点とは
非公開手続きであることから、当事者間で紛争が起こっていること、紛争の内容などを第三者に知られることなく解決できます。
また、裁判や仲裁に比べて短期間で柔軟な解決を達成することが可能で、結果として紛争解決のための費用も安く抑えることが可能です。 そして、調停は当事者が主体となる手続きであるため当事者が紛争解決についてのコントロールを持つ点も他の紛争解決手段と異なる特徴と言えるでしょう。

デメリット
調停による解決には上記のようなメリットがありますが、当事者が主体となる手続であるがゆえに、調停を中止することも当事者の自由であり、解決に至らない、すなわち調停が不成立となることがあり得ます。

調停手続き
国際的な調停は、多くが国際的な調停事件を取り扱う調停機関に申し立てることで行われています。日本では、日本商事仲裁協会で調停を取り扱います[1]。また、国際調停を専門に取り扱う京都国際調停センターがあります[2]。 海外に目を向けると、アジアでは、シンガポール国際調停センター(SIMC)[3]、香港国際調停センター[4]など多くの国際調停事件を取り扱う調停センターがあります。
取引の相手国、当事者間のパワーバランス、取引の内容などから、国際的な紛争解決手段として適切な調停機関を選択することが必要です。


[1] 日本仲裁人協会の調停に関する説明 https://www.jcaa.or.jp/mediation/whymediation.html

[2] https://www.jimc-kyoto-jpn.jp/index.php

[3] https://simc.com.sg/

[4] https://idrrmi.org/about-hkimc/